プライドを持つ
建築系の短大を卒業後、最初に就職した建設会社では、現在と同じく現場監督の業務に就いていた。1年目はがむしゃらに取り組んでいたが、2年目を迎えるころには「監督としての力を本格的に高めたい。」と感じるように。そんなとき、知人の紹介で出会ったのがアート建工だった。建築棟数が多く、扱う建築の種類も豊富。業界には珍しく、分業制が徹底されており、高い品質を担保する姿勢を感じた。ここでなら、今までにない経験ができそうだと感じて転職を決意。
入社後は一から学び直し、今では難易度の高い物件にも、周りの方の力を借りながらだが対応できるようになった。もちろん、初めて取り組む内容には不安もある。しかし、だからこそおもしろいとさえ思える。なぜなら、自分の力が試される場面だからだ。決められた範囲で作業をこなすだけでなく、自分の裁量次第で現場の良し悪しが左右される。その実感が、確かなプライドへとつながっている。
山本さんでよかった
現場監督という立場上、お客様と直接やり取りする機会は多くないが、忘れられない出来事がある。ある現場で、お客様が工事中の見学に訪れた際、「外壁の貼り方が違う。」とぽつりと漏らされた。慌てて図面を確認したが、工事は図面通りに進んでおり、間違いはない。つまり、設計段階でのミスか、お客様の思い違いか。その場ではどちらとも判断できなかったが、まずは謝罪した。その後、設計部からの伝達ミスであることがわかり、すぐに段取りを組み直した。すでに半分以上、工事は進んでいる。しかし部材を再手配し、すべて貼り直すことに。職人さんたちに頭を下げて回り、なんとか予定通りに完成させることができた。
引き渡しの日、お客様から「現場監督が山本さんでよかった。」と声をかけていただいたときは、これまでの苦労がすべて報われる思いだった。
現場監督という仕事
一軒の家を建てるためには、数多くの職人さんや関係者の協力が必要となる。現場では段取りも必要だが、最も大切なのはコミュニケーションだと思っている。私は、現場で職人さんたちを管理・監督する立場にあるが、いつも「つくってもらっている」という思いで接している。そうすると、何かトラブルがあったときには助けてくれたりもする。そして一緒に良いものをつくろうという空気が生まれる。
世間では、現場監督という仕事は「しんどい」「怖い」といったイメージがあるかもしれない。だが実際には、やりがいのあるおもしろい仕事だ。私の今の目標は、周りから「アート建工の現場監督は良いよ。」と言ってもらえること。自らの行動で、この仕事のイメージをがらりと変えていきたい。